医療事務の日常業務(Xさん)

 私が実際に就職した仕事は二種類あり、一つは一般的な医療事務の仕事と言えると思います。

 専門学校で資格取得後、眼科専門の個人医院に就職しました。個人医院の医療事務は、ずっと机に向かっている仕事ではありませんでした。普段は患者さんへの応対と施設の環境整備などの割合が多いように感じられます。

 医療事務の仕事は大きく分けて「日常の業務」と「一か月ごとの請求書業務(レセプト業務)」に分かれています。日常の業務は、「病医院の清掃」「病医院の環境整備」「受け付け業務」「患者さんの応対」「診察の補助」「医師からのカルテ記載の聞き取りとコンピューター入力」「会計業務」「備品の管理」「手術日前日・当日の準備」「その他、医師から指示された仕事」と様々でした。

病医院の清掃

  病医院の清掃は、毎日の当番が決まっていて医院の受け付け開始時間の30分前に出勤してきて、医院の駐車場のゴミ拾い、医院内のモップがけ、受け付け台と診察時に先生が使うデスクを水拭きし、それぞれパンフレットや資料などがあれば整えます。朝の清掃はこの3つです。

 朝の清掃は1人〜2人で行っていましたが、他の清掃業務はスタッフ全員でやります。診察時間内も、定期的に患者さんの靴を揃えたり、トイレが汚れていないかチェックしたりします。診察時間が終了したら、全てのスリッパと待合室の窓を水拭きします。待合室の窓は、小さな子供の手が届く高さだったので、指紋が付いてしまい毎日窓拭きをしていました。玄関とトイレの掃除、床のモップがけをします。毎日これを繰り返し、半年に一回は大掃除がありました。

病医院の環境整備

  病医院の環境整備は多種多様で、定期的にするものと、先生からの指示でするものと分かれていました。定期的にするものは、花壇の水やりや草取り、院内の床のワックスがけを行います。他は、先生からの指示で待合室にポスターを掲示したり、待合室で患者さんが読む雑誌や絵本を手配したり、修理したりします。

受け付け業務

  受け付け・会計業務は病院にとってとても重要なポジションでした。患者さんが病医院に抱く第一印象は受け付け・会計業務の担当者で決まると言っても過言ではないでしょう。患者さんから保険証や診察券を受け取り、カルテ棚(カルテをしまっている本棚のようなもの)からカルテを探し出します。

 初めて来院した患者さんについては、新しくカルテを作ります。どんなに小規模の個人医院でも、患者数は数えきれないものです。その大量のカルテの中から、正確に該当患者さんのカルテを短時間で探し出します。カルテが見つかったら、患者さんの情報を確認します。名前と生年月日、そして保険証についてです。保険証が変わっていたら(社会保険から国民健康保険に変わったなど)変更点を医療事務用コンピューターに入力し、その後、カルテを診察部門に回します。

患者さんの応対

  患者さんの応対は、問診や検査への案内となります。私の勤め先は眼科でしたので、目の病気で来る方、視力が低下したので眼鏡やコンタクトレンズの相談に来る方といらっしゃいました。目の病気でいらっしゃる方にはどういった症状なのか、いつ頃からなのかをできるだけ詳しく聞きカルテに記載します。聞き取りの後、一度先生に指示を仰ぎ、必要な検査(視力検査・眼圧検査・レフ検査・視野検査など)をしてから、先生の診察となります。

 視力低下を訴える患者さんは、視力検査・レフ検査をし、医師の診察・相談後に眼鏡の処方せんをお渡ししたり、コンタクトレンズ購入についての相談に乗ったりします。コンタクトレンズ希望の方には、コンタクトレンズの基本的な扱い方や着脱方法の指導、レンズの消毒方法の指導なども行います。
診察の補助は、診察中患者さんの頭の動かないように手で支えたり、医師の指示で点眼薬や軟膏、ピンセットや脱脂綿を手渡したりします。

医師からのカルテ記載の聞き取りとコンピューター入力

  医師からのカルテ記載の聞き取りとコンピューター入力は、カルテには医師が診察内容や所見を記載するのですが、その内容を読んで追加記載が必要なものが無いかチェックします。その後、医療事務用コンピューターに診察内容を入力します。

会計業務

  会計業務は、診察が終わった患者さんの順番にカルテが会計窓口に回ってきます。窓口のコンピューターで会計内容を確認し、領収書と薬の処方せんをプリントアウトし診察代をいただきます。午前診察終了時と午後診察終了時にコンピューターの診察代の合計と現金を合わせ、会計が間違っていない事を確認します。

備品の管理

  備品の管理は、医院内で使う様々な物の在庫を管理・発注します。院内においてあるパンフレット類、雑誌、カルテ用紙や事務用品、コンタクトレンズの関連用品など定期的に確認し、無くなる前に医師に報告後、在庫を出してもらったり発注したりします。

  私の勤めていた医院では、週一回、手術日がありました。手術と言っても、全身麻酔の大規模なものはなく、部分麻酔の1時間ほどで終わる手術でした。手術日前日は、手術予定患者さんのカルテを準備し、病室や手術室の準備をします。

 病室はシーツ・カバー類の取り換え、室内の消毒を行います。手術室の準備は、手術野撮影用ビデオの準備、手術着を必要な数揃えます。手術日当日は、手術予定患者さんを受け付けし、病室に案内し、手術終了までの流れを簡単に説明します。手術を受ける患者さんが複数いる場合、順番に手術室へ案内し、手術中は手術室内で細かな雑用をします。エアコンを調節したり、ビデオテープの入れ替え、その他、医師や介助担当の看護師さんの指示に対応します。

手術日前日・当日の準備

 手術に必要な備品は手術前に用意してあるのですが、患者さんによってガーゼが予想以上に必要になったり、生理食塩水が多めに必要になったりする場合があるのです。手術中は医師と看護師は消毒滅菌したもの以外触れませんし、血液が付着している事が多いので、備品の棚などに触れることができないからです。患者さんへの食事の配膳もありました。

その他、医師から指示された仕事

  その他、医師からの指示は様々な物があります。銀行や郵便局での振り込みやお使い(「○○買ってきて」)、取引業者への連絡や取り次ぎなどもあります。

※医療事務の日常業務は、専門的な仕事ばかりではないということがXさんの詳細な体験談からわかりますね。次ページでは、日常業務とは違った専門的な技術が必要となるレセプト業務へと続きます。